目次
卒FITとは?
2009年にスタートした「FIT(固定価格買取制度)」は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及を促進するために導入された制度です。この制度により、家庭で発電した電気を一定の価格で電力会社が買い取ることが義務づけられ、導入コストが高かった太陽光パネルの普及が一気に進みました。
しかし、この制度には「10年間の買取保証」という期間制限があり、多くの家庭がこの契約期間を迎えています。これがいわゆる「卒FIT」です。卒FITを迎えると、以前のような高価格での買い取りは終了し、以降は自分で売電先を選んで契約を結ばなければなりません。
このとき、「どこに売るか?」という選択は、今後の売電収入に大きな影響を与えることになります。何も知らずに大手電力会社のままにしてしまうと、1kWhあたり7円程度の安価な買取価格に甘んじることになり、せっかくの太陽光発電の価値を十分に活かせません。卒FITは、単なる制度の終了ではなく、エネルギーの“自立”を考えるチャンスでもあります。
卒FIT後の選択肢は?3つの活用方法
FIT制度が終了したあと、太陽光発電によって生まれた電気をどう扱うかは、今後の家計や生活スタイルに直結する重要な選択です。卒FIT後には、主に以下の3つの選択肢があります。それぞれのメリット・注意点をしっかり把握して、自分に合った活用方法を検討しましょう。
① 売電を継続する(新たな売電契約)
もっともシンプルな選択肢が、引き続き余剰電力を「売る」ことです。FIT終了後は電力会社による義務的な買い取りはなくなりますが、代わりに自由契約の形で電力事業者と契約し、余剰電力を買い取ってもらうことが可能です。再エネを積極的に取り扱う新電力会社や、大手電力の卒FIT専用プランなど、選べる事業者は年々増加しています。中には再エネ100%での買取や、ポイント還元などの特典を用意している会社もあり、「売る先を選ぶ自由」が生まれたことで、より自分に合った選択が可能になりました。
ただし、FIT期間中よりも買い取り価格は下がる傾向にあり、1kWhあたり7〜11円前後が相場となります。このため、電気を売ることで得られる収入は大きくは期待できません。とはいえ、初期費用をすでに回収済みの家庭にとっては「売れば現金になる」副収入であり、長期的に見れば無視できない金額です。
手続き自体も比較的簡単で、インターネット経由で申し込みができ、契約から数週間で切り替えが完了する場合が多いです。設備の追加や工事を必要としないケースが多く、最も気軽に始められる方法といえるでしょう。
② 自家消費に切り替える
売るのではなく、「使う」。この自家消費型の運用は、売電単価が下がった今だからこそ、より注目されている活用法です。たとえば、売電価格が1kWhあたり9円なのに対して、電力会社から買う電気は27円だとすれば、電気を売るより使った方が3倍お得ということになります。太陽光で発電した電気を家庭内で直接消費することで、電力会社からの買電量を減らし、光熱費を下げるというのがこの方法の基本です。
とくに昼間に在宅していることが多い家庭(在宅ワークや高齢者世帯、小さなお子様のいる家庭など)では、発電した電力を効率よく消費できるため、自家消費のメリットを実感しやすい傾向にあります。また、冷暖房・給湯・調理家電などを電気でまかなう「オール電化住宅」とも相性が良く、昼間に使えば使うほど節約効果が高まります。
ただし、夜間や雨天など発電量が少ない時間帯には、当然ながら電力会社からの買電が必要になります。そのため、自家消費だけでは完全な「電力の自給自足」は難しいという点も頭に入れておきましょう。
③ 蓄電池と組み合わせて効率運用する
自家消費をさらに進化させた方法が、蓄電池を活用する「自己完結型の電力運用」です。昼間に発電した電力を蓄電池にためておき、夜間や天候不良時に使うことで、買電を極限まで減らすことができます。たとえば、日中に太陽光で10kWhを発電し、そのうち5kWhを家庭内で使い、残り5kWhを蓄電池にためておけば、夜間の電力消費もまかなえるようになります。これにより、売電に依存せずとも太陽光発電の価値を最大限に活かすことができます。さらに、停電時の非常用電源としても機能するのが蓄電池の大きな強みです。災害の多い日本では、ライフラインの一部を確保できる安心感は非常に大きな魅力となります。冷蔵庫や照明、携帯電話の充電など、最低限の生活機能を維持できるのは、万が一のときに頼れる備えになります。
一方で、蓄電池の導入にはコストがかかるのが難点です。製品によって価格は異なりますが、設置費込みで70〜150万円程度が一般的です。ランニングコストはさほどかからないものの、元を取るには長期的な視点が必要となります。
自治体によっては、蓄電池導入に対する補助金制度を用意しているところもあるため、費用面のハードルを下げるには行政支援を積極的に活用することが重要です。経済性だけでなく、「安心」と「省エネ」を両立させる暮らしを目指す方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
参考:卒FIT後(固定価格買取制度 期間満了後)の対応とは?家庭でできる4つの方法をご紹介!|太陽光発電・蓄電池|京セラ
売電先を選ぶときのチェックポイント
太陽光発電の売電先を選ぶ際、単純に「買取価格が高いところが正解」というわけではありません。表面的な数字だけで判断してしまうと、あとで不利な条件に気づいたり、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクもあります。ここでは、売電先を決めるうえで見落としてはいけないポイントを、具体的に解説していきます。
買取価格(kWhあたり)
まず真っ先に確認すべきなのが、1kWhあたりの買取価格です。卒FIT後は、国が設定した固定価格ではなく、電力会社ごとに自由に設定された市場価格での買い取りになるため、会社によって差が大きくなります。
現在の相場はおおむね7〜11円/kWh程度ですが、地域や条件によってはさらに高い、あるいは安い価格を提示している事業者もあります。数字が高いほど魅力的に見えますが、その背景にある契約条件(期間、制約、サービス内容)をセットで確認することが重要です。また、価格が変動制なのか、一定期間固定されるのかといった点も見逃せません。安易に「高いからここにする」と決めず、信頼できる根拠のある価格設定かどうかを見極める姿勢が大切です。
契約期間と更新条件
売電先を選ぶ際に、見落とされがちなのが「契約期間」とその後の「更新条件」です。一部の事業者は1年ごとの自動更新となっているケースもあれば、3年や5年などの中長期契約を前提にしているところもあります。長期契約のメリットは、買取価格の安定性や、再手続きの手間が少ない点にありますが、その反面、途中でより良い条件の会社を見つけてもすぐに切り替えができないというデメリットもあります。
また、契約更新時に自動で価格が変更されるケースもあり、「最初は高かったのに、気づいたら単価が下がっていた」という声も少なくありません。契約書や利用規約をしっかり読み込み、更新時の価格変動や条件変更の有無について確認しておくことが、長期的な安定収入につながります。
支払方法・タイミング
売電によって得られる収入がいつ、どのように支払われるかという点も、売電先を選ぶ上での重要な判断材料になります。多くの事業者は月単位で売電量を計測し、翌月または翌々月に指定口座に振り込む仕組みですが、なかには四半期に一度、あるいは年1回まとめて支払う会社も存在します。
家計を細かく管理したい方にとっては、支払い頻度が少ないと資金繰りに支障をきたす場合があります。また、支払遅延や振込手数料の有無などもチェックすべきポイントです。中には、1回ごとの振込に対して手数料が差し引かれるケースや、一定金額に達しないと支払いが行われないといったルールを設けている企業もあるため、事前に詳細な支払条件を確認しておくと安心です。
サービスの透明性・信頼性
長期にわたって電力を取引する相手だからこそ、企業としての信頼性は欠かせません。公式ウェブサイトに情報がきちんと整理されて掲載されているか、問い合わせへの対応は丁寧か、契約条件や料金体系が明瞭に記載されているか、こういった点から透明性の高さを見極めましょう。
また、事業者としての実績や規模、運営会社の母体もチェックしたいポイントです。再生可能エネルギー事業に特化している企業や、大手インフラグループに属する企業などは比較的信頼性が高い傾向があります。反対に、設立間もない企業や情報開示が不十分な事業者は、いざという時の対応力に不安が残ります。口コミサイトや比較レビューなども参考に、利用者の実体験を把握しておくとより安全です。
特典やポイント還元などの付加価値
単なる電力の売買だけでなく、利用者にとっての“プラスアルファ”があるかどうかも、売電先を選ぶ際のポイントになります。たとえば、楽天でんきのように売電によって楽天ポイントがたまる仕組みや、Looopでんきのように他の電力プランと連携してセット割が適用されるサービスなどです。
こうした付加価値は、一見すると小さなメリットに思えるかもしれませんが、年間を通して積み重ねていくと、売電収入に加えてさらにお得になる可能性があります。また、契約時のキャンペーンでギフトカードがもらえる、紹介制度で追加特典がつくといった期間限定の優遇も見逃せません。
ただし、特典ばかりに目を奪われて、基本的な買取条件や契約の縛りを軽視するのは避けましょう。付加価値はあくまで「比較の際の後押し」として捉え、最終的には本体サービスの質を重視することが重要です。
【2025年版】卒FIT後におすすめの売電先一覧
以下は、2025年現在において評価の高い売電先の一部です。買取単価や特徴を簡単にまとめました。
売電先企業名 | 買取価格(目安) | 対応エリア | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
TERASELでんき | ~12.5円/kWh | 全国対応(一部地域除く) | 高単価・卒FIT専用プランが充実。ネット完結で手続きも簡単。 |
ENEOSでんき | ~11.0円/kWh | 全国対応 | 大手による安定運用。ガソリンとの連携など特典も。 |
丸紅ソーラートレーディング | ~11.0円/kWh | 全国対応 | 高単価で複数エリアに対応。契約実績も多く信頼性◎。 |
グローバルエンジニアリング | ~9.5円/kWh | 全国対応 | 契約自由度が高く、サポート面でも好評。 |
東急でんき(東急パワーサプライ) | ~12.0円/kWh | 東京電力エリア中心 | 都市型ユーザーに人気。Tポイント連携あり。 |
オクトパスエナジー | ~12.0円/kWh | 東京・中部エリア中心 | 英国発の再エネ企業。スタイリッシュで分かりやすい設計。 |
出光でんき | ~9.5円/kWh | 全国対応(一部地域除く) | 出光グループ運営で信頼性高。 |
auでんき | ~10.0円/kWh | 全国対応 | スマホ・インターネットとのセット割引が可能。 |
みんな電力 | ~9.0円/kWh | 全国対応 | 再エネ志向の強いユーザー向け。透明性に優れたサービス。 |
Looopでんき | ~8.0円/kWh | 全国対応 | シンプルな料金体系。家庭向け太陽光の草分け的存在。 |
この一覧は、買取単価が高めで、契約や運用のしやすさ、会社の信頼性などを総合的に評価したものです。特にTERASELでんき、ENEOSでんき、東急でんき、オクトパスエナジーあたりは、2025年現在において契約者満足度が高く、価格とサービスのバランスがとれていると言えるでしょう。
売電価格の比較とシミュレーション
卒FIT後に新たに契約できる売電先は多数あり、同じエリア内でも買取価格には最大5円/kWh以上の差があることも珍しくありません。たとえば東京電力エリアでは、東京電力の基本プランが8.5円/kWhなのに対し、TERASELでんきでは12.5円/kWhと、年間の売電収入に大きな違いが生まれます。
地域別・買取価格レンジの目安(2025年)
地域によって選べる電力会社の数や、提示される買取単価には大きな差があります。特に都市圏や電力自由化が進んでいるエリアでは、10円/kWhを超える高単価の事業者が複数存在し、比較・検討の余地が広がります。
一方で、地方や離島エリアでは選択肢が限られる傾向もあり、早めに調査・申込を進めることが重要です。売電先の切り替えは一度契約しても後から変更可能なケースが多いため、まずは「現時点で最も条件の良い会社を選ぶ」ことが経済的メリットを最大化する近道です。
エリア名 | 買取価格レンジ(kWhあたり) | 主な高単価企業例 | 対応事業者数(目安) | 備考 |
---|---|---|---|---|
北海道 | 8.0〜11.0円 | ENEOS・TERASEL・丸紅 | 約8〜10社 | 高単価企業が複数存在し選択肢豊富 |
東北 | 8.0〜11.0円 | ENEOS・TERASEL・au | 約10社 | 地元密着型と全国展開型が混在 |
東京 | 7.5〜12.5円 | TERASEL・オクトパス・東急 | 約12〜14社 | 全国屈指の高単価エリア |
中部 | 7.0〜10.5円 | TERASEL・丸紅・ENEOS | 約10社 | 地域差がやや大きい |
北陸 | 7.0〜10.0円 | ENEOS・丸紅・au | 約9社 | 買取価格は比較的安定 |
関西 | 7.0〜10.0円 | ENEOS・TERASEL・丸紅 | 約10社 | 大手と新興電力の競争あり |
中国 | 7.0〜10.0円 | TERASEL・丸紅・出光 | 約9社 | 買取価格はやや抑えめ |
四国 | 7.0〜10.0円 | ENEOS・丸紅・au | 約9社 | 売電先は絞られているが選択肢あり |
九州 | 7.0〜9.5円 | 丸紅・グローバルE | 約8社 | 高単価はやや少なめ |
沖縄 | 7.0〜9.5円 | 丸紅・沖縄ガス・コープ | 約5〜6社 | 地域特性により選択肢は限定的 |
年間売電収入シミュレーション(5kW/売電単価別)
このシミュレーションでは、5kWシステム・自家消費率35%という標準的な家庭を想定していますが、売電単価の違いが年間収入に大きな影響を与えることがよくわかります。特に、FIT終了後に安価なベーシックプランのまま放置してしまうと、本来得られるはずだった収益を逃すことになりかねません。
売電先の選び方次第で、10年後、20年後に数十万円の差が生まれる可能性もあるため、「売電価格×売電量」の把握と、「自分の家に合ったプラン選定」は、太陽光を続けて活用していくうえでの最重要ポイントです。
条件設定:
パネル容量:5kW/年間発電量(目安):約5,300kWh/自家消費率:35%/売電可能量:約3,445kWh
売電単価(円/kWh) | 年間売電収入(概算) |
---|---|
7.0円 | 約24,115円 |
8.0円 | 約27,560円 |
9.0円 | 約31,005円 |
10.0円 | 約34,450円 |
11.0円 | 約37,895円 |
12.0円 | 約41,340円 |
12.5円 | 約43,062円 |
参考:【地域別】卒FITしたら売電したいおすすめ事業者は? 余剰電力買取プラン比較 | 【公式】TERASEL(テラセル)でんき|伊藤忠エネクスグループ 株式会社エネクスライフサービス
売電契約の流れと手続き方法
卒FIT後に新たな売電先と契約するには、いくつかのステップを踏む必要があります。手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、スムーズに進めるためには「事前準備」と「スケジュール管理」が重要です。以下に一般的な流れを詳しく解説します。
1. 売電先の選定と情報収集
まず最初に行うべきは、どの電力会社・新電力と契約するかの選定です。売電単価だけでなく、支払い方法、契約期間、解約条件などを比較しましょう。公式サイトや比較サイトを利用し、自分のライフスタイルや電力使用状況に合った会社を絞り込みます。
ポイントとしては、次のような視点で情報収集を行うとよいでしょう。
- 過去の実績や契約者の評判(口コミ)
- 申込みから売電開始までの所要期間
- 必要書類や申請手続きの手軽さ
- サポート体制や問い合わせの対応
ここでしっかり比較検討しておくと、あとから「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクを減らせます。
2. 仮申し込み・契約意思の表明
候補が決まったら、各社の申込みフォームや電話窓口から仮申し込みを行います。この段階で求められる情報は以下のようなものです。
- 住所・氏名・連絡先などの基本情報
- FIT終了日(10年満了日)
- 太陽光発電システムの設置容量(kW)
- パワコンメーカーや型番の情報
- 既存の電力量計の種類(スマートメーターか否か)
仮申し込みの内容に基づき、正式な契約書や申請書類が送付されてくることが多いです。
3. 必要書類の提出と本人確認
正式契約に進むにあたり、多くの場合、以下の書類の提出が求められます。
- 契約書類一式(署名・捺印が必要)
- 太陽光発電の設置証明(メーカーの仕様書や設置報告書など)
- 電気料金の検針票(最近のもの)
- FIT契約終了を示す通知書(一般送付されている)
- 本人確認書類(運転免許証・保険証など)
書類の不備や記入漏れがあると、やり取りが長引く原因となりますので、丁寧に記入しましょう。
4. メーター確認・交換(必要な場合)
現在の電力量計がスマートメーターでない場合、売電契約の切り替え時に「計量器の交換工事」が必要になる場合があります。これは原則として電力会社または計量管理会社が無償で対応してくれますが、日程の調整や立ち会いが必要なケースもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。
すでにスマートメーターが設置されている家庭では、交換作業は不要で、システム上の切り替えだけで済む場合も多いです。
5. 売電先と接続契約を締結(需給契約)
書類提出とメーター確認が完了したら、売電先と正式な「電力受給契約(需給契約)」を締結します。ここで、売電価格、支払サイクル、契約期間などが正式に決まります。
この段階で「いつから売電がスタートするか」が確定し、以降の収入が具体的に見えるようになります。
6. 売電開始とモニタリング
契約開始日から、発電された電力の余剰分が選定した売電先に供給され、毎月または四半期単位での売電収入が発生します。支払方法(銀行振込、ポイント付与など)やタイミングについても、事前に確認しておきましょう。
また、売電の状況を把握するために、売電モニタリングサービスを提供している会社もあります。オンライン上で発電・売電の実績を確認できるダッシュボードなどがあると、家庭内のエネルギーマネジメントがしやすくなります。
✍️ 手続きはいつ始めればいい?
卒FITの「終了日の2~3か月前」には準備を始めておくことをおすすめします。申し込みから売電開始までに1~2か月かかる場合もあり、ギリギリで申請すると売電に空白期間ができてしまう可能性があります。
早めに情報収集と仮申込みを済ませておくことで、卒FIT直後からスムーズに新しい契約で売電を継続できます。
自家消費と併用も視野に!蓄電池との連携活用法
卒FITを迎えた今、ただ「電気を売る」という選択肢だけではなく、「電気を賢く使い切る」という視点が非常に重要になってきました。そこで注目されているのが、**家庭用蓄電池との併用による“自家消費の最大化”**です。
昼間の電気を夜に使える!蓄電池の基本的な役割
太陽光パネルが電気を発電するのは主に日中ですが、多くの家庭では夜間に電気の使用量が増える傾向にあります。ここで活躍するのが蓄電池です。
昼間に発電した余剰電力を蓄電池に貯めておけば、太陽が沈んだ後でも自家製の電気を使い続けることができます。これにより、電力会社から購入する電力量を大幅に減らすことが可能になります。
たとえば以下のような使い方ができます:
- 晴天時:発電 → まずは家庭で使用、余剰分は蓄電池へ
- 夕方以降:蓄電池から電力供給 → 電力会社からの購入を最小限に
- 悪天候時・停電時:蓄電池を非常用電源として活用
売電より“自家消費”が得になる理由
売電価格(卒FIT後)は平均して7〜10円/kWh前後と非常に低くなっています。一方、家庭で電力会社から購入する電気代は25〜30円/kWh以上が一般的。つまり、「売るより使う方が得」という状況になっているのです。
たとえば、昼間に発電した10kWhをすべて売電した場合は約80円の収入になりますが、それを蓄電して夜に使用すれば、電力会社からの購入を抑えられ、約250円分の電気代を節約できます。差額で見ると、一日に170円、年間では6万円以上の差になるケースもあります。
家庭用蓄電池の導入コストと補助金制度
蓄電池の導入には、容量や機能にもよりますが70万円〜150万円程度の初期投資が必要です。この金額を聞くと「高い」と感じる方も多いですが、国や自治体による補助金制度を活用すれば、かなりの負担軽減が可能です。
たとえば、国の「住宅省エネ2025キャンペーン」や、都道府県・市町村ごとの蓄電池補助金では、1台あたり10万円〜最大50万円程度の補助が出ることもあり、実質の自己負担は半額以下になるケースもあります。
また、災害リスクが高い地域や再エネ普及に力を入れている自治体では、特別枠の補助が出ることもあるため、地域の制度を事前に調べておくことが重要です。
蓄電池の種類と選び方
家庭用蓄電池には大きく分けて以下のような種類があります。
- 単機能型(電気だけを蓄える):比較的安価でシンプル。太陽光と連携しやすい。
- ハイブリッド型(太陽光パワコンと一体):省スペース・高効率。設置もスマート。
- V2H対応型(電気自動車と連携):EVを蓄電池代わりに活用。今後の主流になる可能性大。
導入時には、家庭の使用電力量、太陽光発電の出力、設置スペース、将来のライフプランなどを総合的に考慮する必要があります。
蓄電池と太陽光の“ダブル投資”が将来の安心を生む
電力料金は今後も値上がりが予測され、自然災害による停電リスクも高まっています。そうした背景から、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、経済面だけでなく「生活の安心感」を得るという意味でも非常に有効な選択肢です。
特に災害時には、冷蔵庫・照明・携帯充電・暖房(機器による)など最低限の生活インフラを自力で確保できるため、小さなお子様や高齢者のいる家庭では非常に心強い備えになります。
自家消費モデルへの転換は今がチャンス
太陽光発電を“売る”時代から、“使う”時代へ。蓄電池との連携により、自家消費モデルは現実的かつ経済的に十分見合う投資になってきています。
卒FITをきっかけに、太陽光発電の本来の価値を最大限に活かすためのライフスタイルを見直してみるのはいかがでしょうか。
よくある質問と注意点
卒FIT後に売電先を選ぶ際、多くの方が感じる共通の不安や疑問を以下にまとめました。制度の変化や契約条件の複雑さに戸惑わないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
Q1. 卒FIT後の売電価格は固定されるの?
A. 契約内容によって異なります。
売電価格が契約期間中に固定されるか、相場に応じて変動するかは、事業者ごとに異なります。例えば「1年間は10円/kWhで固定」といったケースもあれば、「市場価格に連動して毎月単価が変動する」という動的なプランもあります。特に動的プランは、電力卸市場(JEPX)の価格変動に影響されるため、契約前にしっかり仕組みを理解しておくことが重要です。
Q2. 売電先は途中で変更できる?
A. 可能ですが、条件によっては手数料や解約金が発生します。
ほとんどの事業者は途中解約を認めていますが、契約期間内の解約には「最低利用期間」が設けられていたり、違約金が発生したりすることもあります。また、新しい売電先に切り替える際には、手続きに1~2ヶ月程度かかることがあり、その間の売電が一時的に止まるケースもあるため、タイミングと段取りに注意が必要です。
Q3. 契約先によって本当にそんなに違いがあるの?
A. はい。数円の差でも年間収入に1万円以上の差が出ます。
売電単価が7円と11円では、1kWhあたり4円の差になります。たとえば年間3,600kWhを売電している家庭では、年間で約14,400円の差に。たかが数円と侮れません。また、支払いのタイミングや還元方法(現金・ポイントなど)、サポート体制の有無など、金銭面以外の違いも無視できません。
Q4. 売電中に太陽光パネルが故障したらどうなるの?
A. 発電量が減り、当然売電収入も減ります。保証の確認が大切です。
太陽光パネルの多くは10〜20年の出力保証がついていますが、故障や破損の原因によっては保証対象外となることも。特に自然災害や経年劣化によるトラブルでは、自己負担での修理が必要になる場合もあります。また、売電契約は「電力が供給されること」が前提なので、発電できない期間は売電が一時停止となる点にも注意しましょう。
Q5. 高く買い取ってくれる会社は安心なの?
A. 単価の高さだけで判断するのは危険です。
高単価を提示する会社は魅力的に映りますが、契約条件にリスクが潜んでいる場合もあります。たとえば、初年度だけ高単価で、2年目以降は大きく下がる設定になっている、あるいは手数料が差し引かれて実質の受け取り額が少ないケースなどです。また、新興企業の場合、経営の安定性にも注意が必要です。口コミや企業の実績、契約書の内容を慎重に確認しましょう。
Q6. 詐欺的な業者に騙されることはない?
A. ごく一部ですが存在します。要注意です。
「高額買取」「手続き代行無料」などの甘い言葉で近づき、不当に高額な機器購入や手数料を請求する悪質業者も報告されています。実際には売電契約の手続きに多額の手数料は発生しません。訪問営業などで不審な勧誘を受けた場合は、一度持ち帰って家族と相談すること。すぐに契約せず、国の認定小売電気事業者(登録電力会社)かどうかを確認するのが安全です。
Q7. 契約前にしておくべきことは?
A. 複数社から見積もり・比較をすることが最優先です。
卒FIT後は、誰かが最適な契約を決めてくれるわけではなく、自分で情報を集めて選ぶ必要があります。1社だけで決めず、最低でも3社程度は条件を比較し、「価格」「契約内容」「会社の信頼性」の3軸で判断しましょう。また、電力切り替えに必要な「電力受給契約番号」や「電力量計の設置状況」なども事前に調べておくとスムーズです。
注意点まとめ
- 「単価が高い=お得」とは限らない。契約条件をよく確認
- 電話や訪問営業での即決はNG。必ず家族や専門家に相談
- 契約後も定期的に条件を見直し、より良い選択肢があれば切り替え検討
- 売電と同時に「自家消費の割合」や「蓄電池の導入」も視野に入れることで、将来的な安定性が高まる
まとめ

卒FIT後は、電力を「どう使うか」「どこに売るか」という選択を個人が自由に行えます。しかしそれは同時に、正しい情報を持っていなければ損をしてしまう可能性があるということです。売電単価だけでなく、契約条件や支払い方法、企業の信頼性までをしっかり比較し、自分のライフスタイルや家庭の電力使用状況に合った選択をすることが、後悔しない太陽光活用の第一歩です。
余剰電力の価値を最大限に活かすためにも、「売電」「自家消費」「蓄電池活用」を柔軟に組み合わせて、これからのエネルギーライフを賢くデザインしていきましょう。
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